西洋の日本観

15. トリゴー 『日本殉教史』 仏訳・1624年

TRIGAULT, Nicholas. Histoire des martyrs dv Iapon depuis l'an MDCXII. iusques a MCDXX. Traduite en francois par le P.Pierre Morin. A Paris, chez Sebastien Cramoisy, 1624. / 4to. Pagès 169; Cordier BJ 295; Laures 356.


『日本殉教史』 仏訳・1624年


 ピエール・マランの手になるフランス語訳初版、ラテン語の原著は前年ミュンヘンで上梓されています。本書とカルディムの『日本殉教精華』とは、キリシタン時代の終焉をしめす代表的な著作です。ジョアン・ロドリゲス・ビランは1609年の日本年報で、家康治下いまだ布教は良好な状態にあると楽観的な報告をしていましたが、その後状況は急速に悪化し、もはや年報が日本国内で発信されることはありませんでした。

 この著作は、1612年から1620年までの徳川幕府下における弾圧を克明に報じ、残虐な拷問と刑罰について叙述を加えています。フランス出身のイエズス会士ニコラ・トリゴーは日本を訪れたことはありませんが、中国の布教に大きな貢献を果たし、マテオ・リッチの遺稿にもとづく『中国布教史』(1615年)は名著として知られます。彼は中国から1620年帰任しており、この『日本殉教史』はバイエルン侯のもとめに応じて執筆されたものです。