西洋の日本観

16. チンナーモ 『マルチェルロ・マストリリ伝』 1645年

ClNNAMO, Leonardo. Vita, e morte del Padre Marcello Francesco mastrilli della Compagnia di Giesu. In Vitelbo, per il Diotalleui, 1645. / 4to. Pagès 273; Cordier BJ 355-6; Streit V.1558.


『マルチェルロ・マストリリ伝』 1645年


 1637年十月十七日長崎で殉教したマストリリの伝記。1603年ナポリに生.まれたマストリリは、1633年ナポリのイエズス会学校の聖堂工事を手伝っていた際、大工が誤って落とした金槌に頭を打たれ、医師も見放す重傷に陥りました。寝台のわきに置かせたザヴィエルの肖像画が、奇跡的な回復をもたらしたと信じたマストリリは、日本への布教を志し、フィリピンから日本に潜入しています。薩摩到着は1637年九月十九日、しかしまもなく日向で捕縛され、逆吊しの拷問をうけた三日後、斬首に処せられました。

 マストリリの短い生涯は、ザヴィエルの奇跡を含むこともあり、殉教直後の小伝にはじまり、早くからアコスタ、スタフオード、ニーレンベルク・イ・オティンなどがそれぞれ伝記を著しています。ローマ北部の小都市ヴィテルポで刊行されたこの伝記は、マストリリと同郷のチンナーモが執筆したもの。彼も1644年インドヘ赴任し、ゴアで死去。