西洋の日本観

12. ヴァリニャーノ 『1599年日本年報』 1603年

VALIGNANO, Alessandlo. Lettera Alessandro Valignano, del 1599. In Venetia, appresso Gio. Battista Ciotti, 1603. / 8vo. Cordier BJ235; Streit V.1006; Laures 259.


ヴァリニャーノ 『1599年日本年報』 1603年


 ローマ、ヴェネツィア、ミラノの三個所で発行されたイタリア語オリジナル版の一つ。ラテン訳・ドイツ語訳も同年に刊行されています。イエズス会の日本巡察師ヴァリニャーノは、1539年ナポリ出身。1573年にインドに派遣され、来日はその六年後。以来、布教方針の改革によって日本教会の基盤を固める一方、伊東マンショら天正遣欧使節の派連など、ヴァリニャーノの貢献は日本・ヨーロッパの双方にとって実り多いものでした。彼の執筆したこの報告は、1598年八月に秀吉が没して以降の諸侯による権力闘争と、その間の困難を極めた布教活動とを記しています。その他にヴァレンティン・カラヴァロの1598年十月三日長崎発の書簡なども含みます。

 1604年に刊行されたフランス語訳はフランソワ・ソリエの手になるものです。この翻訳はアラスのロベール・モーデュイが上梓したものと、展示本のパリ版との二種があります。イエズス会は1595年パリから追放され、十年後にようやく戻ることができました。このパリ版は帰還後に出版された、初期のイエズス会文献にあたります。

邦訳:松田毅一監訳『十六・七世紀イエズス会日本報告集』第一期第三巻(京都・1988) (198.2/J97)