西洋の日本観

23. モンタヌス 『日本誌』 仏訳・1680年

MONTANUS, Arnoldus. Ambassades memorables de la Compagnie des Indes orientales des Provices Unis, vers les Empereurs du Japon. Contenant plusieurs choses remarquables arrivees pendant le voyage des ambassadeus. A Amsterdam, ches Jacob de Meirs, 1680. / Folio. Pagès 314; Cordier BJ 385; Laures 526.


モンタヌス 『日本誌』 仏訳・1680年-01
モンタヌス 『日本誌』 仏訳・1680年-02


 日本の鎖国体制が完成し、宣教師とポルトガル人が駆逐されると、これまで彼らが大量にもたらしていた日本に関する新たな情報は極端に乏しくならざるを得ませんでした。この当時のイエズス会の文献はほとんどが以前の報告の焼き直しであり、新味に乏しいものです。とはいえオランダもカロン以降あらたな報告者があらわれぬまま、約ニ十年間を経過しました。

 モンタヌスの『日本誌』は、このような十七世紀後半こ登場した最初の本格的日本文献でした。おもにオランダ東インド会社の江戸参府記録に依拠し、1649年から翌年にかけてのブコヴィウス(長崎で客死)とフシリウスの参府、さらに1657年のワヘナール、1661年のインダイクなどの報告が中心となっています。これらの記述の間に様々な情報が盛り込まれ、雑然とした著作ではあるものの、江戸初期の日本を緻密に叙述した大部の著作はこののちケンペルまで登場しませんでした。

 原著はオランダ語、1669年初刊。ドイツ語訳が同年に、また翌年英訳が刊行され、この仏訳は原書と同じ出版社から公刊されたのち、1686年、1722年にも再販されました。  

邦訳:和田萬吉訳『日本誌』(東京・1925)